DXを推進する場合に利用したいのが、国や団体が提供する助成金制度や補助金制度です。DX推進のための事業にかかる費用の一部が支払われるほか、返済する必要もないため、積極的に活用したいものです。

しかし、どのような助成金や補助金があるのか知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、DXに活用できる助成金や補助金を紹介します。また、助成金・補助金を利用するメリットや注意点、申請から入金までの流れも解説します。

中小企業の経営者の方には必見の内容です。ぜひ参考にしてください。

DXに利用できる助成金

DXを推進する場合、助成金を利用できる場合があります。助成金を利用すれば、DX推進にかかるコストを軽減でき、労働環境の改善や業務効率化、生産性向上につなげやすくなります。

DXに利用できる助成金・補助金は次の通りです。

  • DX推進助成金
  • 人材開発支援助成金
  • IT導入補助金
  • 事業再構築補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • キャリアアップ助成金

それぞれ詳しく解説します。

DX推進助成金

DX推進助成金とは、デジタル技術を用いた企業の変革や生産の向上を図るために必要な経費の一部を助成する制度です。

名称DX推進助成金
対象者公社が実施する「DX推進支援事業」におけるアドバイザーによる支援を受けて、アドバイザーによる提案書の内容にもとづき、機器・システム等の導入を検討している都内中小企業者等(会社・個人事業主・中小企業団体)
助成対象経費1.機器・ロボット導入費 2.システム構築費 3.ソフトウェア導入費 4.クラウド利用費 5.データ分析費
助成限度額3,000万円(下限額30万円)
助成率1.生産性向上コース
中小企業者等:1/2
小規模企業者:2/3
賃金引上げ計画を掲げ申請する事業者:3/4

2.DX戦略策定支援コース
中小企業者等:2/3
賃金引上げ計画を掲げ申請する事業者:3/4
注意点助成期間は1年間 申請には事前予約が必須(事前予約期間あり)
公式サイトhttps://iot-robot.jp/business/dxsubsidy/

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、従業員の人材育成やスキルアップに活用できる助成金です。

同助成金制度には、いくつかのコースが設定されていますが、DX推進に活用できるのは「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」です。

名称人材開発支援助成金 人への投資促進コース
対象者事業主などが雇用する労働者に対して、支給対象となる訓練等を計画通りに行った場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成
助成対象訓練高度デジタル人材訓練、成長分野等人材訓練情報技術分野認定実習併用職業訓練定額制訓練自発的職業能力開発訓練長期教育訓練休暇調整度
公式サイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
名称人材開発支援助成金事業展開等リスキリング支援コース
対象者事業主などが雇用する労働者に対して、支給対象となる訓練等を計画通りに行った場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成
助成対象訓練事業展開やDX・GXに伴い新たな分野で必要になる知識や技能を習得させるための訓練
公式サイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

人への投資促進コースの助成率や助成額は以下の通りです。

訓練賃金助成額(1人1時間当たり)賃金助成額(賃金要件を満たす場合)経費助成率経費助成率(賃金要件を満たす場合)OJT実施助成額(1人1コース当たり)OJT実施助成額(賃金要件を満たす場合)
高度デジタル人材訓練(OFF-JT)960円 (480円)75%(60%)
成長分野等人材訓練(OFF-JT)960円※175%
情報技術分野認定実習併用職業訓練(OFF-JT)760円 (380円)960円 (480円)60%(45%)75%(60%)
情報技術分野認定実習併用職業訓練(OJT)20万円 (11万円)25万円 (14万円)
定額制訓練(OFF-JT)60%(45%)75%(60%)
自発的職業能力開発訓練(OFF-JT)45%60%
長期教育訓練休暇制度960円※2 (760円)―※2 (960円)20万円24万円
教育訓練短時間勤務等制度20万円24万円

※( )内は中小企業以外の助成額・助成率

※1 国内の大学院を利用した場合に助成

※2 有給休暇の場合のみ助成

事業展開等リスキリング支援コースの助成率や助成額は以下の通りです。

訓練賃金助成額(1人1時間当たり)賃金助成額(賃金要件を満たす場合)経費助成率経費助成率(賃金要件を満たす場合)OJT実施助成額(1人1コース当たり)OJT実施助成額(賃金要件を満たす場合)
事業展開等リスキリング支援コース960円 (480円)75%(60%)

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者の労働生産性を向上させることを目的に、業務効率化やDXのためのITツール導入を支援するための補助金制度です。

名称IT導入補助金
対象者飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業、製造業、建設業などを営む中小企業、または小規模事業者 (業界によって資本金、従業員の要件あり)
公式サイトhttps://it-shien.smrj.go.jp/

IT導入補助金では、申請枠に以下の種類が設けられています。

申請枠内容
通常枠事業のデジタル化と目的に、ソフトウェアやシステム導入を支援する
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度対応のための会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトなどの導入を支援する
インボイス枠(電子取引類型)インボイス制度対応の受発注システムを商流単位で導入する企業を支援する
セキュリティ対策推進枠サイバー攻撃増加に伴う潜在的リスクに対処するためのリスク低減策を支援する
複数社連携IT導入枠複数の中小企業や小規模事業者の連携による地域DX実現、生産性向上の取り組みを支援する

それぞれの申請枠や取り組みの内容、従業員や賃金の状況などにより、補助率や補助金額が異なるため、詳しくは公式サイトをチェックしてください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、新市場への進出や事業・業種の転換、事業再編、これらの取り組みを通じた規模の拡大など、事業再構築に意欲的な中小企業を支援する補助金制度です。

名称事業再構築補助金
対象者事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること事業計画を金融機関や認定経営革新支援機関と作成し、確認を受けていること付加価値額を向上させること (※全枠共有の必須要件、申請枠によって他要件が追加される)
公式サイトhttps://jigyou-saikouchiku.go.jp/

事業再構築補助金には、次の5つの申請枠が設定されています。

申請枠内容
成長分野進出枠(A、通常類型)ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者、国内市場縮小などの構造的課題に直面する業種・業態の事業者が取り組む事業再構築を支援
成長分野進出枠(B、GX進出類型)ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者の事業再構築を支援
コロナ回復加速化枠(D、最低賃金類型)最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援
卒業促進上乗せ措置(F)A~Dの補助事業を通じて、中小企業から中堅企業に成長する事業者への上乗せ支援
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置(G)A~Dの補助事業を通じて、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援

各申請枠や事業規模などによって、補助金額や補助率は異なります。詳しくは公式サイトでチェックしてください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業や小規模事業者が今後複数年での相次ぐ制度変更に対応するため、生産性向上に資する革新的な製品・サービスの開発、海外需要開拓を行う事業の設備投資にかかる経費の一部を補助する制度です。

名称ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
対象者生産性向上に資する革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業のために必要な設備投資を行う事業者
公式サイトhttps://portal.monodukuri-hojo.jp/

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金では、以下の補助対象事業が設けられています。

補助対象事業枠概要
製品・サービス高付加価値化枠革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資などを支援
グローバル枠海外事業を実施して、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資などを支援

製品・サービス高付加価値化枠での補助上限額と補助率は次の通りです。

補助上限額従業員5人以下:750万円
従業員6~20人:1,000万円
従業員21~50人以下:1,500万円
従業員51人以上:2,500万円 (※補助下限額100万円)
補助率中小企業:1/2小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3

また、グローバル枠での補助上限額は3,000万円(下限額は100万円)、補助率は中小企業が1/2、小規模企業・小規模事業者が2/3となります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、持続的な経営に向けた経営計画にもとづく小規模事業者の販路開拓や業務効率化などの取り組みを支援する補助金制度です。

名称小規模事業者持続化補助金
対象者①、下記に該当する法人・個人事業・特定非営利活動法人
常時使用する従業員数5人以下の商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)
常時使用する従業員数20人以下の宿泊業・娯楽業
常時使用する従業員数20人以下の製造業・その他  

②、①を満たし、かつ以下の要件全てを満たす事業者
資本金または出資金が5億円に上の法人に直接・関節に100%株式保有されていないこと
直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
持続化補助金で採択を受けて補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること
補助対象経費機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費
補助上限額通常枠50万円、その他の申請類型200万円
補助率2/3(※賃上げ枠のみ赤字事業者は3/4に引上げ)
公式サイトhttps://r3.jizokukahojokin.info/

小規模事業者持続化補助金では、以下の申請類型が設けられています。

申請類型概要
通常枠小規模事業者自ら作成した経営計画にもとづいて、商工会や紹介会議所の支援を受けながら実施する販路開拓などの取り組みを支援する
賃金引上げ枠販路開拓の取り組みに加えて、事業上ない最低賃金が地域別最低賃金よりも+30円以上である小規模事業者への支援 ※赤字事業者の場合、補助率は3/4に引上げ
卒業枠販路開拓の取り組みに加えて、雇用を増やして小規模事業者の従業員数を超え、事業規模を拡大する小規模事業者を支援する
後継者支援枠販路開拓の取り組みに加えて、アトツギ甲子園のファイナリスト・準ファイナリストに選ばれた小規模事業者を支援する
創業枠産業競争力強化法にもとづき、「特定創業支援等事業の支援」を受けて、販路開拓に取り組む創業した小規模事業者を支援

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金制度です。

名称キャリアアップ助成金
対象者非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化・処遇改善の取り組みを実施した事業主
公式サイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

キャリアアップ助成金では、正社員化支援もしくは処遇改善支援の内容によって、次のコースに分類されています。

支援内容コース概要
正社員化支援正社員化コース有期雇用労働者等を正社員化
障害者正社員化コース障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換
処遇改善支援賃金規定等改定コース有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額
賃金規定等共通化コース有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用
賞与・退職金制度導入コース有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給または積み立てを実施
社会保険適用時処遇改善コース有期雇用労働者等を新たに社会保険に適用させ、収入を増加させる、または週所定労働時間を延長し、社会保険に適用させる

各コースや企業規模、実施した改善措置の内容によって助成金額が異なるため、詳細は公式サイトで確認してください。

助成金と補助金の特徴と違い

助成金と補助金は、事業者を対象に支給されるお金で、返済する必要がない点は共通しています。

ただし、本来の意味はそれぞれ異なります。

助成金とは、従業員の雇用や教育、労働環境改善を実施する事業者を対象に支給されるものです。基本的に人に対する支援金を意味します。

補助金と比較して支給される金額は少ないものの、支給要件を満せば審査なしで受け取れることが多い特徴があります。

ただし、人気が高い助成金は、早めに受付が終了されるケースがあるため、できるだけ早く申請することが大切です。

一方、補助金とは、設備投資やシステム開発のための投資を促すことを目的に、事業者に支給されるもので、事業を支援するためのお金です。

数百万円から1億円以上と補助金額が大きくなりやすいものの、補助金を受けるには審査が必要です。採択率は30%~50%で、申請しても補助金を必ず受けられるとは限りません。

補助金は種類が豊富なため、企業のニーズに合ったものを見つけやすいというメリットがあります。

一方で、募集期間が短く、補助金の予算に制限があるため、審査が厳しい傾向があります。

DX関連の助成金・補助金の使途

DX関連の助成金や補助金の主な使い道は次の通りです。

  • DXツールの投資
  • DX人材の採用・育成
  • DX支援会社への投資

それぞれ詳しく解説します。

DXツールの投資

DX関連の助成金や補助金は、DXツールへの投資に利用できます。

DXツールには次のようなものがあります。

  • 会計システム
  • ECシステム
  • 受発注システム

会計システムとは、仕訳データの入力により、帳票が作成できるシステムのことです。

定期的な取引の一括入力ができたり、入力のサポートシステムによって簡単な入力ができたりします。また、決算資料や試算表への自動反映も可能で、データ作成も容易に行えます。

業務の質が一定化されるほか、ヒューマンエラーの削減につながることから、業務効率化を期待できるシステムです。

ECシステムとは、インターネット上で商品やサービスを販売するサイトを構築・運営できるシステムです。

自社でECを運営すれば、売上アップを見込めるほか、顧客情報や発注内容を一元管理できます。

受発注システムとは、企業の受発注に関連する業務をインターネット上で管理できるシステムです。

受発注業務のデジタル化が可能なほか、人的ミスの削減や業務負担の軽減、ペーパーレス化の実現を期待できます。

これらのシステムの導入する場合に、補助金を利用可能です。

DX人材の採用・育成

DX関連の助成金は、DX人材を採用したり、育成したりするための資金として利用できます。

DXを推進するには、ITに強い人材の確保や、自社人材の育成が欠かせません。一方で、人材の確保や教育には一定のコストがかかります。

DX関連の助成金は、DXを進めるための「人」に対する支援金のため、これらの用途に利用できるわけです。

DX支援会社への投資

DX関連の助成金や補助金は、DX推進を支援してくれる企業への投資に利用可能です。

DX支援会社では、DXを進めるためのプラン提案やコンサルティング、伴奏による事業支援など、さまざまなサービスが提供されています。

DXを自社だけで進められるのが理想ですが、人材の確保が難しい場合は、DX支援会社を利用してDXを推進するのも1つの手段です。その際、補助金や助成金を利用できます。

DX関連の助成金を利用するメリット

DX関連の助成金を利用するメリットは次の通りです。

  • DX推進に必要な資金を確保できる
  • 事業内容の評価を受けられる
  • 融資を受けやすくなる

それぞれ詳しく解説します。

DX推進に必要な資金を確保できる

DXの助成金・補助金を利用する最大のメリットは、DXを進めるために必要な資金を手にできることです。

特に、中小企業やスタートアップ企業では、DXを推進したり、事業を創出・拡大したりするために初期投資が負担になりやすいといえます。

助成金や補助金は後払いのため、事前に費用を確保する必要はあるものの、一部の費用が後から返ってくること、返済の必要がないことは、魅力的です。

資金繰りに余裕を持たせられるほか、他の投資に費用をまわせるなど、利点が多いため、積極的に助成金の利用を検討した方がいいでしょう。

事業内容の評価を受けられる

事業内容の評価を受けられるのも、DXの助成金・補助金を利用するメリットです。

特に、補助金制度を利用する場合、申請時に事業計画書の内容をもとに審査が実施されます。

審査に通過できた場合、事業計画に対するフィードバックが得られるほか、補助金の実施母体から事業内容や将来性を認められたことになります。

補助金の利用によって、顧客や取引先からの信頼を得やすくなるほか、企業の価値向上を期待できるでしょう。

融資を受けやすくなる

DX関連の助成金・補助金を利用すれば、金融機関からの融資を受けやすくなるメリットがあります。

補助金の利用によって、企業の事業内容が第三者から評価されていることの証明になるためです。

国や地方自治体が事業計画の支援を行えば、企業の信頼性が向上するため、金融機関や投資家を通じて資金調達しやすくなるのです。

また、補助金による資金調達があれば、事業を安定して継続できる可能性が高くなり、好条件での融資を受けられるケースもあります。

DX関連の助成金を利用するときの注意点

DX関連の助成金や補助金を利用する場合、次のポイントに注意しなければなりません。

  • 申請期間を確認する
  • 書類の準備が必要になる
  • 助成金を受けるには審査が必要になる
  • 助成金は原則後払いになる
  • 不正受給は処罰の対象となる

それぞれ詳しく解説します。

申請期間を確認する

DX関連の助成金や補助金に申し込む場合、申請期間を必ず確認しましょう。

申請期間は長期的なものが多いですが、なかには短期間に設定されている場合もあります。

利用したい助成金や補助金を見つけられたとしても、申請期限に間に合わずに利用できないケースも多々あります。また、助成金や補助金は予算が決められているため、多数の申請があった場合は、申請期間が早めに締め切られるケースもあります。

申請期間がいつまでなのか、それまでに申請に必要なものを準備できるのかをチェックして、早めにスケジュールを立てて行動することが大切です。

書類の準備が必要になる

DX関連の助成金・補助金の利用を申請するには、提出書類の準備が必要です。

必要な書類は利用する助成金によって異なりますが、場合によっては記入項目が多い書類を用意したり、事業に関する書類を準備したりしなければなりません。

提出書類の準備にはかなり時間がかかるため、早めの準備を意識しましょう。

また、書類に不備があった場合、申請が通らない恐れがあります。記入内容は必ず確認し、記入漏れやミスがないよう心がけましょう。

助成金を受けるには審査が必要になる

助成金や補助金を申請すると、審査を求められるケースがあります。

特に、補助金の場合は、多くの制度で審査が実施されており、内容によっては審査落ちとなって補助金をもらえない場合があります。

申請書類の不備がある場合や、申請要件を満たしていない場合も、審査には通過できません。

なお、審査には時間がかかるのが一般的で、合否が判明するまでに申請から1ヶ月以上経過することもあります。

助成金は原則後払いになる

助成金制度や補助金制度では、支給されるお金が後払いになるのが一般的です。

申請した事業が終了して、事業内容を検査された後に、助成金や補助金が入金されます。そのため、申請事業を実施するには、ある程度の資金を準備しなければなりません。

また、申請は通ったものの、事業の実績によっては、当初の予定よりも助成金や補助金の金額が少なくなるケースもあります。

入金は事業が完了した後になること、必ずしも満額が支給されるとは限らないことは理解しておきましょう。

不正受給は処罰の対象となる

DX関連の助成金を不正受給した場合、処罰の対象となります。

不正受給とは、虚偽の申請を行い、本来は受け取れない助成金や補助金の交付を受けることです。なお、虚偽の事実を記載した書類の提出をした時点で、不正受給とみなされます。

不正を認識したうえで申請して助成金を受け取った場合、刑法上の詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。詐欺罪が成立した場合の罰則は、10年以下の懲役です。

また、補助金の不正受給では、補助金適正化法という法律により、5年以下の懲役や100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。さらに、事業者名・不正内容が公表されるケースもあります。

当然ながら、虚偽のない正しい申請をすることが重要です。

DX関連の助成金申請前のポイント

DX関連の助成金や補助金を申請する前に、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 助成金が事業に合っているかを確認する
  • 事業に必要な資金を確保する
  • 助成金の申請マニュアルを確認する

それぞれ詳しく解説します。

助成金が事業に合っているかを確認する

DX関連の助成金の申請をする前に、助成金制度自体が事業に合っているかチェックしましょう。

例えば、DX関連の助成金の目的は人材の確保や育成、労働環境の改善などです。それらが必要ではない場合、またはそのような事業を展開するつもりがない場合は、助成金への申請を避けるべきです。

資金が欲しいために申し込むのではなく、今後の事業展開において不可欠な場合のみ申請しましょう。

事業に必要な資金を確保する

DX関連の助成金に申請する場合は、事業に必要な資金を確保することが大切です。

前述の通り、助成金が入金されるのは、事業が完了した後になるためです。

事業を実施する際、経費は事業者が全額先払いしなければなりません。また、申請段階でも資金調達が可能かどうか確認されるケースもあります。

助成金だよりになるのではなく、あくまでも事業者負担で事業を完了させられるよう、資金を見積もったり、調達できたりする状況を作っておくことが重要です。

助成金の申請マニュアルを確認する

DX関連の助成金に申請する場合は、申請マニュアルをしっかり確認しましょう。

助成金や補助金の申請では、手続きについて記した公募要領が公表され、申請時の注意点や応募のプロセスなどが記されています。

応募の要件や申請期限などを見落としてしまうと、手続きが無駄になったり、申請に間に合わなかったりするため、事前に必ず確認しておきましょう。

DX関連の助成金を利用するための流れ

DX関連の助成金の申請から入金までは、以下のプロセスとなります。

  1. 助成金・補助金をリサーチする
  2. 必要書類を揃えて申請する
  3. 助成金の交付手続きを行う
  4. 助成金の対象となる事業を開始する
  5. 事業実績を報告する
  6. 請求書の提出後に助成金が支払われる

それぞれ詳しく解説します。

助成金・補助金をリサーチする

まずは、DXに活用できる助成金や補助金のリサーチを始めます。

助成金や補助金は、経済産業省や地方自治体のサイト、Googleなどの検索エンジンを使って確認しましょう。

いずれの助成金・補助金にも、応募できる要件が設定されているため、自社が応募できるかどうかもチェックします。

自社のDXを推進できる助成金や補助金を探しましょう。

必要書類を揃えて申請する

応募したい助成金・補助金が決まったら、必要な書類を揃えます。

各助成金制度・補助金制度ごとに、提出が求められる書類が異なるため、入念な確認が必要です。

また、必要書類の準備や記入には手間と時間がかかります。早めに書類の準備が終わるよう、余裕をもって行動しましょう。

必要書類の準備ができれば、助成金・補助金の申請を行いましょう。

助成金の交付手続きを行う

申請が通った場合、各制度を運営する事務局から申請が採択された通知が届きます。

通知内容に従って、正式な交付を受けるための交付申請を行いましょう。

一般的には、各事務局が指定する窓口を利用して、申請を行うことになります。

助成金の対象となる事業を開始する

助成金・補助金の交付が決定したら、DXを推進するための事業に着手します。

助成金・補助金の申請時に事業計画書を提出している場合は、計画書の記載通りに取り組みを進める必要があります。

事業内容を勝手に変更したり、事業計画書には記載されていない取り組みを行ったりした場合、助成金・補助金は支給されないため、くれぐれも注意してください。

事業実績を報告する

事業計画書通りにDX推進への事業が完了したら、その効果を検証するフェーズに入ります。

効果が検証できれば、実績報告書類を作成して、事務局へ提出します。

受理された内容が検査され、事務局側が認めれば、助成金額・補助金額が決定されます。

請求書の提出後に助成金が支払われる

助成金・補助金の金額が確定したら、請求書を提出し、支援金を受け取ります。助成金・補助金の申請から入金までの流れは以上です。

なお、助成金・補助金を受けた後、5年間は事業に関する書類を保管する必要があります。破棄することがないよう、気を付けましょう。

また、助成金制度・補助金制度によっては、特殊な手続きが求められるケースもあるため、各制度の内容をしっかり確認しましょう。

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投稿者プロフィール

上原和也
上原和也
株式会社真工社 DX推進室 課長
工程設計や新規品の立ち上げ、海外工場への技術支援、製造責任者を経て、DX推進室の立ち上げに参画。DX推進室の責任者として社内外のDX支援に取り組む。