現在、すべての業界でDXの必要性が認識されつつあり、さまざまな企業がDX推進に取り組んでいます。

従業員の高齢化や業務の属人化が起こりやすい製造業でも、DX推進の波が来ています。しかし、自社の悩みや課題をどのように解決すればいいのかわからないケースも多いでしょう。

そこで今回は、製造業に特化したDX事例を紹介します。また、DX成功の共通点やポイントも詳しく解説します。

DX推進に悩む企業の経営者や担当者の方は必見の内容です。ぜひ参考にしてください。

DXの定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術を用いて、顧客目線で新しい価値を創出したり、そのためにビジネスモデルや企業文化などの変革に取り組んだりすることです。

デジタルツールを用いた業務効率化は、あくまでも手段であり、DXのほんの一部にすぎません。企業に求められているのは、激しく変化するビジネス環境への対応です。そのために顧客への提供価値の変革や新たな組織能力など、組織そのものの変化が必要であると考えられています。

DXの推進は、諸外国と比較して日本が遅れているのが現状です。2018年には、このまま2025年までにDXが進まない場合、年間12兆円もの経済損失が発生する恐れがあるとした「DXレポート」が発表されました。

現在、国による企業へのDX推進支援政策も展開されており、日本企業がどのようにしてDXを進めていくかが注目されています。

製造業のDX事例8選

ここでは、製造業におけるDXの成功事例を紹介します。取り上げるのは、次の企業の事例です。

  • 株式会社山本金属製作所
  • 株式会社リョーワ
  • 株式会社樋口製作所
  • 西機電送株式会社
  • 株式会社広島メタルワーク
  • 協和工業株式会社
  • 有限会社永井製作所
  • 株式会社IBUKI

株式会社山本金属製作所

山本金属製作所がDXに挑戦したきっかけは、製造業における差別化の困難さです。

自社の存在意義を見直すため、加工に着目。属人化された難しい加工を、誰もが高いレベルでできるようにデジタル化が必要だと判断しました。

そこで、データに基づいた客観的な判断を可能にすることで、品質の安定化と生産性の向上を目指します。

2006年頃からデータを取ることからDXをスタート。工数を最適化し、加工のノウハウを共有するために、技術を数値で「見える化」しようと考えます。

2010年には研究開発センターを設立。専門分野の人材を採用し、計測機器などのデバイス製作やシステム開発にも自社で取り組み、温度・振動のリアルタイムのモニタリングによって、異常を数値で検知できるようになりました。

DX推進後は、高度な加工ができるようになり、売上が向上。センシング技術がさまざまな分野で役立つことに着目し、他社にも提供しています。

また、データが集まることで裾野が広がり、加工事業に加えてソリューション事業、ロボットSIer事業、技術教育支援事業といった多様な展開につながりました。

DXを推進することで、自社の技術力を高めるだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出している好例です。

株式会社リョーワ

生産機械に使用される油圧装置の総合メンテナンスや油圧配管工事などを手掛ける株式会社リョーワは、事業環境の変化から事業変革に迫られました。

きっかけは1997年、社長が顧客から将来的な油圧機械の減少を聞いたことです。その後、リーマンショックや東日本大震災を経て、事業環境は悪化。そこで、外観検査装置の技術を持つエンジニアを採用し、新規事業に参入を決意します。

AIを活用した外観検査システムを自社開発したほか、2017年に他社のAI外観検査装置の販売を開始しましたが、高価であることが課題でした。

2018年にAIを活用した外観検査システムを自社開発し、タイの大学内にもラボを設立。中小企業でも導入しやすいよう、低価格な検査システムを開発し、既存事業との融合も模索しています。

同社では、AI外観検査システムの内製化により、新たな収益源を確立しました。低価格なシステムを開発することで、中小企業の生産性向上を支援しています。同社の社長は「インダストリー4.0」を学び、オープンイノベーションなどの経営戦略を立てました。DXを通じて、企業文化の改革や新たなビジネスの創出を目指しています。

株式会社樋口製作所

株式会社樋口製作所は自動車産業を支えるサプライヤーでしたが、2017年に主要取引先のリコールが発生。業界の変革期も重なり、事業継続に危機感を抱きました。そこで、「お客様に満足していただける会社づくり」を目標にDXによる企業価値創出を決意します。

DXを推進するにあたり、現場の困りごとを丁寧にヒアリングしました。システムやアプリを作るたびに現場の作業員に試してもらい、改善点や問題点を洗い出すことを繰り返しました。これらの取り組みを主導したのは、「ブリッジエンジニア」4名で組成されたプロジェクトチームです。

プロジェクトチームは、社内プラットフォームを構築し、生産データの利活用を促進。また、過去の不具合に対する原因や対策をAIに学習させ、「AI技術伝承システム」を開発しました。

結果、売上が増加するなか、ミスや不具合が3年間で40%減と大きく削減されました。コストダウンや生産性、品質の向上にも貢献しています。

西機電送株式会社

制御盤などを設計製造する西機電装株式会社では、かねてより業務効率を上げる必要性を感じていました。

DXの定義を見た際、すべてを達成するのは難しいと感じましたが、プロセス目標である「業務効率化」なら実現可能だと判断し、クラウドシステムを使った改善にチャレンジします。

業務効率化を阻む2つのハードルがありました。1つは社員の意識です。「現状の仕組みでも間に合っているから変える必要がない」という声に対し、小さなアプリの開発と利用体験を通じて、自然な移行を促しました。

2つ目は職場環境です。現場でのパソコンやタブレット操作が難しいため、QRコードをスキャンするだけのシンプルなIoTデバイスを試作。注文受付・注文書発行システムについて、キーボード操作・マウス操作が一切不要なデバイスを開発します。

結果、総務部における作業日集計・内容確認が、数日からワンクリック5分に短縮されました。また、各管理職が部下の稼働時間・予算・実績時間をリアルタイムで把握し、工程調整や指導ができるようになりました。

さらに、社員が自発的に業務改善の打ち合わせをするようになり、「DXマインドが醸成されたな」と実感。今後は、自社の経験を生かし、地域のDX推進をビジネスとして実現する予定です。

株式会社広島メタルワーク

金属加工を手掛ける株式会社広島メタルワークは、IT化に抵抗があったものの、社長が危機感を訴え続け、DXの必要性と意義を説きました。「何もしないでは会社の存続はない」という強いメッセージと、社員へのスキルアップ支援が理解を広げることになり、DX推進に動きます。

中小製造業のDXの第一歩は生産管理システムの活用にあると考え、生産管理システム「TED」を導入。かつては限られた端末しか使えませんでしたが、現在は50台の端末が工場で稼働しています。

曲げ工程や溶接工程など図面を参照する場合はタブレットの画面では小さいため、PC端末と大型モニターを設置。端末の設置場所は作業者が自由に変えられます。

1人1台の端末導入で、全員がリアルタイムに正確な進捗データを取得できるようになりました。手元で図面を確認できるほか、情報共有などが非常に簡単になり、QCD(品質・コスト・納期)の向上に大きな効果を上げました。

DXの推進によって「仕事の見える化」「データ化」「暗黙知の形式知化」が進み、担当者以外でも対応できるように。社員にデジタル重視の価値観が確立して、変化にチャレンジする精神やチームワークとコラボレーションの意識が育まれ、オープンコミュニケーションな環境が定着しました。

協和工業株式会社

ユニバーサルジョイントなどを製造する協和工業株式会社は、1980年代に生産管理システムを導入しましたが、工程内管理が中心で、業務全体最適化にはつながりませんでした。

変化の激しい経済環境下で、企業競争力と変革への対応力を向上させるためには、リアルタイムに経営判断ができるシステムが必要と考え、入口から出口までの全体最適を目指すNKS(New KYOWA System)をテーマとして掲げて、DX推進を決めます。

NKSの推進にあたり、業務の棚卸しからスタート。「今やっていることが課題」という視点を持ち、業務の手順や必要性、人の介在度を徹底的に洗い出して、価値を生まないことはやめていく方針を決定します。

また、属人化を排除するために業務の標準化を進め、IoTを導入してリアルタイムデータを収集しました。安価なセンサーを活用し、工程や設備ごとの稼働状況をリアルタイムに把握することで、計画と実績の差分を分析して改善につなげました。

また、現場リーダーに女性を採用し、C言語の学習からスタート。画像処理用のAIを大学の研究室で学び、現場に実装できるほどに成長し活躍しています。

また、生産管理部門の女性リーダーは課題であった工程間の最適化に着手。段取り改善のため、新たに専用治具を設計するとともにロボットも組み合わせ、人が介在しなくとも生産できる専用工程を自社で開発します。結果、受注から出荷までの全体最適を図り、生産のリードタイムの50%減を実現しました。

有限会社永井製作所

永井製作所は、金型づくり一筋で60年の歴史を持つ企業です。

近年の社会環境や経済環境の大きな変化を受け、企業として生き残り持続可能な事業を実現するためには、デジタル技術を活用したビジネスモデルの進化は不可避であると強い危機感を抱いていました。

そこで、伝統の金型づくりをデジタル革新で未来の次世代につなぎ、社会に貢献する100年企業へと成長するためにDXを積極的に推進することを決意します。

基本戦略として「未経験者の新鮮な視点から生まれる改善提案をデジタルで具現化すること」「デジタルで楽を得る実感を共有し全社員の自発的な行動を促進すること」を掲げました。

また、3K・6Kの改善、新3K(給与・休暇・希望)の目標化、デジタル化に向けた5Sの徹底、ワークフローの見える化、最新のハードウェア・ソフトウェアでのナレッジのデータ化と共有化など、さまざまな課題に取り組みます。

デジタル人材を育成するため、スキル目標を定め、達成度合いで処遇を改善。全社員に対してデジタル教育の時間を設け、勉強会を開催しました。また、幅広い多様な人材の獲得と活躍を目指し、デジタル技術を活用したリモートワークやフレックスタイムでの就労を推奨しました。

多様な取り組みによって、デジタルテクノロジーにおいて金型づくりの属人性体質の抜本的改革を実現。未経験者が戦力になるまでの期間を80%短縮し、年間の金型製作の請負能力を1.5倍向上させました。

現在では、デジタルに精通した地域DXコミュニティメンバーと連携。経営者も自ら社内外へDX推進のメッセージを発信し、地域の支援機関と連携してDXを推進しています。

株式会社IBUKI

株式会社IBUKIは金型の設計・製造を行う企業です。

2008年のリーマンショックを機に、工場全体の業務効率化を目指しデジタル化に着手。製造業向けコンサルティングのノウハウを実践し、工場デジタル化のために各種システムの開発を行います。

Excelを活用した勤怠管理や在庫管理、技術伝承システムを開発し、業務の効率化を図ったほか、見積り作業の効率化のため、熟達者知見による見積り支援システムを開発・提供しました。

また、IoTの活用によって金型内に各種センサーを内蔵することで、射出成形の量産中における不具合の察知やメンテナンス時期の予測などを実現します。

さらに、画像解析を活用して、熟練技術者の知見内容を紐付けた工具摩耗状態の判定システムも開発・提供しました。

取り組みやすい内容からデジタル化を進めたことで、社内従業員のデジタル化に対する意識は向上。情報が視覚化され、業務が効率化されたため、残業時間の減少や在庫管理の適正化、良品の質の向上などを実現します。

また、自社で内製したシステムをサービス化し、他企業へ展開するなど新たな事業の創出につながりました。

DXの成功事例の共通点とは

製造業でDXに成功した事例を紹介しました。これらの企業には、いくつかの共有点があり、これからDXを推進したい中小企業や製造業の経営者・担当者が参考にすべきポイントが含まれています。

具体的な共通点は次の通りです。

  • 明確なビジョンと計画のもとに行動している
  • 経営層がDX推進にコミットしている
  • DXを進めるための体制を構築している
  • データを活用している

明確なビジョンと計画のもとに行動している

製造業におけるDX成功の共通点の1つが、明確なビジョンと綿密な計画です。

DXは単なるデジタル技術の導入ではなく、ビジネスモデルや組織文化を変革する全社的な取り組みです。

そのため「どのような未来を実現したいのか」というビジョンを描く必要があります。

ビジョンが曖昧だと、個々の施策がバラバラになり、効果を発揮できません。計画なしに進めると、問題発生やリソース不足のリスクが高まります。

ある中小製造業の例

  • 「顧客一人ひとりに最適化された製品を迅速に提供できる体制を構築する」というビジョンを掲げる
  • 顧客データを収集・分析し、製品設計、製造、販売、アフターサービスまでの一連のプロセスをデジタル化する計画を立案
  • 顧客の属性や購買履歴に基づいて、製品の仕様を自動的に調整するシステムを導入
  • 製造ラインの稼働状況をリアルタイムで監視して、最適な生産計画を立てるシステムを構築
  • 【結果】受注から製品出荷までのリードタイムを短縮、顧客満足度の向上に成功

明確なビジョンと計画こそが、DXを成功に導くための設計図となります。ビジョンと計画があれば、従業員は同じ方向を向いて努力し、目標を達成できます。

経営層がDX推進にコミットしている

製造業のDX成功の共通点として、経営層の積極的なコミットメントが挙げられます。

DXは、企業の組織構造や業務プロセス、企業文化にまで及ぶ大規模な変革プロジェクトです。経営層がDXの重要性を深く理解して、率先して推進する姿勢を示さなければ、全社的な協力体制を築けません。

経営層がDXに対して消極的だったり、現場に丸投げしたりするようでは、DXは失敗に終わる可能性が高いでしょう。

経営層は、DXを単なるIT投資ではなく、企業の将来を左右する重要な戦略と捉えて、自らリーダーシップを発揮する必要があります。

ある中小製造業の例

  • 社長自らがDX推進の陣頭指揮を執る
  • DXに関する勉強会に積極的に参加して、最新の技術動向や成功事例を学ぶ
  • 自社のDX戦略を策定して全従業員にその内容を共有
  • DX推進に必要な予算や人材を確保し、現場の意見を積極的に取り入れながら、DXプロジェクトを推進
  • 経営者がDXの進捗状況を定期的にチェック、問題が発生した場合には迅速に対応
  • 【結果】従業員のDXに対する理解が深まり、積極的に協力する姿勢が見られるように

経営層のコミットメントは、DXを成功させるための重要な要素といえます。

DXを進めるための体制を構築している

製造業でDXを成功させるためには、DXを専門に推進するための組織体制を構築することが重要です。

DXは、特定の部門や担当者だけで完遂できるものではなく、全社的な協力体制が不可欠であるためです。

既存の組織構造のままDXを推進しようとすると、部門間の連携がうまくいかなかったり、責任の所在が曖昧になったりして、プロジェクトが停滞する恐れがあります。

そのため、DX推進を専門とする部署を新たに設置したり、各部門からメンバーを選出して横断的なプロジェクトチームを編成したりするなど、DXを円滑に進めるための体制を整える必要があります。

ある中小製造業の例

  • 社長直轄のDX推進室を新設、情報システム部門、製造部門、営業部門など、さまざまな部門から経験豊富なメンバーを集める
  • DX推進室は、DX戦略の策定、プロジェクトの推進、進捗管理、従業員への教育など、DXに関するあらゆる業務を担当
  • 各部門の代表者からなるDX推進委員会を定期的に開催し、各部門の課題やニーズの共有、連携の強化
  • 外部のコンサルタントを招き、DXに関する専門的な知識やノウハウを学習
  • 【結果】全社一丸となってDXに取り組む体制が構築され、スムーズなDX推進につながった

DXを成功させるには、組織全体の協力が不可欠であり、そのためには、明確な役割分担と連携体制を構築することが重要です。

データを活用している

製造業におけるDX成功の鍵は、データを積極的に活用することです。

データは現状を客観的に把握して、課題を明確化し、改善策を導き出すための強力な武器となるためです。

製造現場から得られる生産データ、品質データ、設備データ、顧客からのフィードバックデータ、市場動向データなど、さまざまなデータを収集し、分析することで、これまで見えなかった問題点や改善の余地を発見できます。

これらのデータを基に、生産効率の向上、品質の改善、コスト削減、顧客満足度の向上など、具体的な成果につなげることが可能です。データを活用しないDXは、単なるデジタル化にすぎず、企業の変革は望めません。

ある中小製造業の例

  • IoTセンサーを製造ラインに設置し、設備の稼働状況や製品の品質データをリアルタイムで収集
  • 収集したデータの分析により、設備の故障予兆の検知、品質不良の原因を特定が可能に
  • 設備の振動データや温度データの分析により、異常値を検出することで、故障が発生前のメンテナンスを実施
  • 品質データと製造条件データの分析による、不良品の発生につながる要因を特定<して製造条件を最適化
  • 【結果】:設備の停止時間の大幅短縮、不良品の発生率の大幅な削減に成功

データは、DXを成功に導くための大切な指針となるものです。

DXを成功させるための8つのポイント

DXは、むやみにシステムやツールを導入したところで、うまくいくものではありません。DXへの取り組み方や体制づくりなど、成功にはいくつかのポイントがあります。

具体的なポイントは次の通りです。

  • 経営層によるトップダウンでDXを推進する
  • 現場と経営陣がスムーズに情報を共有する
  • 自社が抱える業務プロセスの課題を可視化する
  • DX人材を確保する
  • DX推進のための予算を確実に確保する
  • 現場責任者の意識を改革する
  • スモールスタートでDXを始める
  • 継続的に業務を改善する

経営層によるトップダウンでDXを推進する

製造業においてDXを成功させるためには、経営層が強いリーダーシップを発揮し、トップダウンでDXを推進することが重要です。

DXは単なる部門レベルの改善ではなく、企業全体のビジネスモデルや組織文化を変革する、全社的な取り組みです。

経営層がDXの重要性を深く理解して明確なビジョンと戦略を示し、積極的に資源を投入しなければ、従業員の意識改革や部門間の連携は実現しません。

また、DX推進には、既存の業務プロセスや組織構造を変える必要があるため、抵抗勢力も現れる可能性があります。これらの抵抗を乗り越え、全社的な合意形成を図るためには、経営層の強力なリーダーシップが不可欠です。

ある中小製造業の例

  • 経営者自らDXに関するセミナーや勉強会に積極的に参加し、最新の技術動向や成功事例を学習
  • 学んだ知識を基に自社のDX戦略を策定、全従業員に内容を共有
  • DX推進に必要な予算や人材を確保し、現場の意見を積極的に取り入れながら、DXプロジェクトを推進
  • 経営者はDXの進捗状況を定期的にチェックし、問題が発生した場合には迅速に対応
  • 【結果】:従業員のDXに対する理解が深まり、積極的に協力する姿勢が見られるようになる

経営層の強い意志とリーダーシップこそが、DXを成功に導くための原動力となります。

現場と経営陣がスムーズに情報を共有する

製造業におけるDXの成功には、現場と経営陣が壁を越えて、スムーズに情報共有できる体制を構築することが大切です。

現場は日々の業務で直面する課題や改善のアイデアをよく理解しています。また、経営陣は企業の全体戦略や市場動向を踏まえたうえで、DXの方向性を決定する責任が発生します。

現場と経営陣が互いに情報を共有し、意見交換を行うことで、現場のニーズに合致した、効果的なDX戦略を立案できるでしょう。また、現場の意見が経営に反映されることで、従業員のモチベーション向上にもつながります。

ある中小製造業の例

  • 定期的に現場の従業員と経営陣が参加するワークショップを開催
  • ワークショップでは、現場の課題や改善提案を自由に議論、経営陣はそれらの意見を真摯に受け止め、DX戦略に反映
  • 現場の従業員は、経営陣からDXの全体戦略や目的について説明を受け、自身の業務がどのように貢献できるかを理解
  • 情報共有ツールを導入し、現場と経営陣がいつでも気軽にコミュニケーションを取れるように
  • 【結果】:現場と経営陣の間の信頼関係が深まり、全社一丸となってDXに取り組む体制が構築された

情報共有は、DXを成功させるための大きな要因となります。

自社が抱える業務プロセスの課題を可視化する

製造業でDXを成功させるためには、自社が抱える業務プロセスの課題を可視化することが不可欠です。

DXはあくまで課題解決のための手段であり、課題が明確になっていなければ、どのようなデジタル技術を導入すれば良いのか、どのように業務プロセスを改善すれば良いのか、判断できないためです。

課題を可視化するには、現状の業務プロセスを詳細に分析し、各工程における作業時間やコスト、人的リソース、使用するツールなどを洗い出す必要があります。各工程におけるボトルネックや非効率な箇所、無駄な作業などを特定することも重要です。

ある中小製造業の例

  • 各部門の業務プロセスを詳細に分析し、フローチャートを作成
  • 各工程における作業時間やコストを計測し、課題を可視化
  • 手作業が多い特定の工程や、特定の部門の書類承認に時間がかかっていることが判明
  • 従業員へのアンケートを実施し、業務に関する不満や改善要望を収集
  • 外部のコンサルタントを招き、業務プロセスの専門的な診断を受診

課題の可視化こそが、DX戦略を策定するための出発点です。

DX人材を確保する

製造業がDXを成功させるためには、高度な専門知識とスキルを持ったDX人材の確保が必要です。

DXは、AIやIoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど、最先端のデジタル技術を活用して、業務プロセスを革新し、新たな価値を創造する取り組みであるためです。

既存の従業員だけでは、これらの技術を十分に理解し、活用することが難しい場合があります。そのため、外部から専門知識を持った人材を採用したり、既存の従業員を育成したりする必要があります。

また、DX人材には、技術的な知識だけでなく、ビジネスの視点やコミュニケーション能力も求められます。

ある中小製造業の例

  • データサイエンティストを採用し、データ分析基盤の構築を委任
  • 社内のエンジニアにAI関連の研修を実施し、スキルアップを支援
  • DX推進チームを組織し、各部門から選抜されたメンバーに、DXに関する知識やスキルを習得させる
  • 【結果】:データに基づいた意思決定が可能になり、業務効率が大幅に向上
  • 新たなビジネスモデルの創出、顧客体験の向上も実現

DX人材は、企業の競争力を高めるための重要な資源といえます。

DX推進のための予算を確実に確保する

製造業においてDXを成功させるためには、十分な予算を確保することが重要です。

DXは、単なるソフトウェアやハードウェアの導入だけでなく、人材育成やコンサルティング、システム構築など、さまざまな費用が発生するからです。

予算が不足すると、必要な施策を十分に実行できず、DXの効果を最大限に引き出せません。DXは長期的な取り組みであるため、単年度の予算だけでなく、複数年度にわたる予算計画を立てることが重要です。

ある中小製造業の例

  • 経営陣がDXを最優先事項と位置づけ、年間予算の10%をDX関連費用に割当
  • 最新のAIツールの導入、従業員向けのDX研修の実施など、積極的に投資
  • 外部のコンサルタントを招き、DX戦略の策定やプロジェクトの推進のサポートを受ける
  • 政府や自治体のDXに関する補助金や助成金を積極的に活用
  • 【結果】:生産性向上やコスト削減を実現

予算確保こそが、DXを成功させるための土台であり、経営陣のコミットメントを示す重要な指標となります。

現場責任者の意識を改革する

製造業でDXを成功させるためには、現場責任者の意識改革が大切です。

DXは現場の業務プロセスに大きな影響を与えることから、現場責任者の理解と協力なしには、スムーズに導入・定着できないためです。

現場責任者は、DXの目的やメリットを理解し、積極的に推進する役割を担う必要があります。

現場の従業員に対して、DXに関して説明するほか、不安や疑問を解消したり、協力を促したりすることも重要です。なお、現場責任者の意識改革には、研修やワークショップなどを通じて、DXに関する知識やスキルを習得してもらうことが効果的です。

ある中小製造業の例

  • 現場責任者を集めたDXに関する勉強会を定期的に開催
  • DXの成功事例の紹介や、現場での具体的な活用方法を議論
  • 外部の専門家を招き、DXに関する講演会を実施
  • 現場責任者がDXに関する目標を設定し、達成度を評価
  • 【結果】:現場責任者のDXに対する意識が向上し、現場主導でDXが進むようになった

現場責任者の意識改革は、DX成功の鍵を握っているといえるでしょう。

スモールスタートでDXを始める

製造業でDXを成功させるためには、最初から大規模な投資を行うのではなく、スモールスタートで始めることが賢明です。

DXは不確実性の高い取り組みです。最初から完璧な計画を立てることは難しく、予期せぬ問題が発生する可能性があります。

まずは、特定の部門や業務プロセスに焦点を当て、小規模なプロジェクトから始めることで、リスクを最小限に抑えつつ、DXの効果を検証できます。

スモールスタートで得られた経験や知識を、他の部門や業務プロセスに展開すれば、効率的にDXを推進できるでしょう。

ある中小製造業の例

  • 特定の部門の業務プロセスを自動化するRPAツールを導入
  • 効果を検証しながら、他の部門にもRPAツールを導入していく計画を立案
  • 特定の設備の稼働状況を監視するIoTセンサーを導入し、設備の故障予兆を検知するシステムを構築
  • 顧客からの問い合わせ対応を自動化するチャットボットを導入
  • 【結果】:初期投資を抑えながら、着実に業務効率化の推進を実現

スモールスタートは、DXを成功させるための現実的なアプローチといえるでしょう。

継続的に業務を改善する

製造業でDXを成功させるためには、DX導入後も継続的に業務改善に取り組むことが重要です。

DXは一度導入すれば終わりではなく、常に変化する市場や顧客ニーズ、技術革新に対応していく必要があるためです。

DXによって業務プロセスをデジタル化・効率化しても、時間の経過とともに、新たな課題や改善の余地が生じる可能性があります。

定期的にDXの効果測定を行い、KPI(重要業績評価指標)をモニタリングして、改善点を見つけ出しましょう。

また、従業員からのフィードバックを積極的に収集し、業務プロセスの改善に反映させることも重要です。

ある中小製造業の例

  • DX導入後も定期的に従業員から改善提案を募集し、積極的に業務改善に注力
  • 最新技術に関する情報を収集し、常に最適な業務プロセスを模索
  • 外部の専門家を招き、業務プロセスの診断を受けて改善点の指摘を受ける
  • 【結果】:DXの効果を持続的に高められ、競争力を維持

継続的な改善は、DXの成功に重要であるため、企業文化として根付かせていく必要があるでしょう。

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成功事例を基に自社でもDXを進めよう

今回は、中小製造業のDXの成功事例を紹介しました。自社の課題を解決するため、さまざまな行動を起こした結果、以前とは違う新たな企業像を実現しているのが特徴的です。

これらの成功例を参考に、自社でもDXを推進していきましょう。

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投稿者プロフィール

上原和也
上原和也
株式会社真工社 DX推進室 課長
工程設計や新規品の立ち上げ、海外工場への技術支援、製造責任者を経て、DX推進室の立ち上げに参画。DX推進室の責任者として社内外のDX支援に取り組む。