自社製品や製造に必要な部品などの在庫管理は、たいへん重要な業務です。
しかし、紙やExcelで在庫を管理していると、データが正確に把握できなかったり、業務に時間がかかったりすることはないでしょうか。
今後取り扱う製品や部品が増えると、在庫管理業務にさらなる時間がかかるほか、余計な残業代を支払うリスクも伴います。とはいえ、在庫管理システムを導入するとなると、高額なコストがかかってしまいます。
そのような課題を解決できるのが、App Sheetを活用した在庫管理アプリ制作です。アプリをノーコードで自作できるため、プログラミングの知識がなくてもアプリを制作できます。また、自社の業務内容や業務プロセスに合ったアプリを自作できる点も魅力です。
今回は、AppSheetで在庫管理アプリを自作する方法やアプリ導入のメリットについて解説します。本記事を読めば、基本的な機能を備えた在庫管理アプリを制作できます。
中小企業の在庫管理担当者や経営者の方は、必見の内容です。
本記事を読んで、自社に合った在庫管理アプリを作りましょう!
目次
AppSheetの特徴
AppSheetは、Google Cloudが提供するノーコード開発プラットフォームです。
専門的なプログラミング知識がなくても、誰でもアプリを作成できます。特に在庫管理のように「現場での情報更新」や「商品情報の一元管理」が求められる業務では、その利便性が大きな強みとなります。
AppSheetでは、スプレッドシートなどの既存のデータをもとにアプリを生成できるほか、インターフェースもシンプルでわかりやすいため、アプリ開発のハードルを大きく下げてくれます。
また、クラウドベースで動作するため、スマートフォンやタブレットでも問題なく操作できるのも中小企業にとって大きなメリット。業務に必要な機能を柔軟にカスタマイズできるため、在庫管理に特化したアプリを自社用に仕上げることも可能です。
これらの特徴から、AppSheetは中小企業が在庫管理アプリを自作する際の有力な選択肢といえます。
AppSheetが在庫管理アプリ作成に向いている理由
AppSheetが在庫管理アプリの作成に適しているのは、ノーコードで直感的に操作できるから、そして在庫の増減や棚卸といった管理業務に必要な機能をすぐに組み込めるからです。
Googleスプレッドシートとの連携により、在庫数や品番などの情報をアプリ側に反映させるのが簡単で、現場で更新した内容がリアルタイムで共有されます。スマートフォンやタブレットのカメラを利用したバーコードスキャンにも対応しており、在庫の入出庫処理をスムーズに行えます。
これにより、管理の属人化や手作業によるミスのリスクを減らすことができ、業務全体の効率化にもつながります。
さらに、権限設定も柔軟で、担当者ごとに表示する情報を制限できるなど、実務での使い勝手を考慮した設計が可能です。
これらの点から、AppSheetは中小企業が自社に最適化された在庫管理アプリを作成するうえで非常に適したツールです。
AppSheetを使った在庫管理アプリの作り方
ここでは、AppSheetでの在庫管理アプリの作り方を解説します。作り方の手順は次の通りです。
- 1.参照するデータを用意する
- 2.Googleスプレッドシート経由でアプリを作る
- 3.アプリにテーブルを追加する
- 4.商品マスタのカラムを設定する
- 5.従業員リストテーブルのカラムを設定する
- 6.入出庫管理テーブルのカラムを設定する
- 7.入出庫管理テーブルの各項目の詳細設定を行う
- 8.在庫量を計算する
それぞれ詳しく解説します。
1.参照するデータを用意する
まずは、参照するためのデータを用意します。
AppSheetを活用して在庫管理アプリを作成する場合、商品名や担当者など、参照用のデータが必要になります。
参照データは表計算ツールを用いて作成する必要があります。また、次項で解説しますが、Googleスプレッドシート経由でアプリを作成するため、基本的にはGoogleスプレッドシートを使いましょう。
なお、Excelから参照用データを作成したい場合でも、GoogleドライブへのアップロードからGoogleスプレッドシートに変換可能です。
2.Googleスプレッドシート経由でアプリを作る
次に、Googleスプレッドシートで作成した参照用データを経由して、アプリの作成に入ります。
参照用データの[拡張機能]を選択し、[AppSheet]、[アプリを作成]の順に選択します。

以下のように表示され、AppSheetがデータからアプリを生成するので、[×]ボタンもしくは[AppSheetでカスタマイズ]を選択しましょう。

画面にAppSheetの編集画面が表示され、右側には作成中のアプリのプレビューが表示されます。

3.アプリにテーブルを追加する
次に、アプリにテーブルを追加していきます。
なお、テーブル(Table)は、アプリ経由でデータの追加・更新・削除ができるデータの格納庫のことです。
アプリにテーブルを追加する手順は次の通りです。
- 3-1.[商品マスタ]テーブルを選択する
- 3-2.[View data source]を選択する
- 3-3.AppSheetと参照データのデータ項目が一致しているか確認する
- 3-4.参照データの[商品マスタ]以外のワークシートをテーブルとして追加する
3-1.[商品マスタ]テーブルを選択する
画面左側の[Data]アイコン(左端上から2つ目)を選択した後、黒い円柱アイコンが表示されている[商品マスタ]テーブルを選択すると、商品マスタのデータ項目(参照データスプレッドシートの1行目)が表示されます。


なお、これらのデータ項目の列をカラム(Columns)と呼びます。
3-2.[View data source]を選択する
次に、画面中央上部の[View data source]を選択しましょう。すると、参照データのスプレッドシートが表示されます。

3-3.AppSheetと参照データのデータ項目が一致しているか確認する
スプレッドシートの[商品マスタ]タブの1行目に表示された項目と、AppSheetの[商品マスタ]テーブルのNAME列に表示された項目が、同じであることを確認しましょう(NAME列1行目の[_RowNumber]は無視してかまいません)。

それぞれの項目が一致していれば、参照データがアプリに反映された状態です。
3-4.参照データの[商品マスタ]以外のワークシートをテーブルとして追加する
次に、参照データスプレッドシートの[商品マスタ]以外のワークシートを、テーブルとしてアプリに追加します。
参照データのスプレッドシートには、[商品マスタ]タブ(ワークシート)に加えて、[従業員リスト]タブと[入出庫管理]タブがあります。それぞれ、在庫を管理する従業員の情報と、入出庫に関する情報が記載されています。
参照データをAppSheetに反映させた段階では、スプレッドシートのタブの先頭に当たる[商品マスタ]タブのワークシートが読み込まれて、テーブルが追加されます。
そのため、[商品マスタ]以外のワークシートを、AppSheetに追加する必要があるわけです。
AppSheet左端の[Data]、ナビゲーション上部に表示される[+]アイコン(Add new Date)の順に選択しましょう。

[Add data]の[SUGGESTIONS:ADD MORE DATA FROM CONNECTED SOURCES]に[Add Table"入出庫管理"][Add Table"従業員リスト"]が表示されます。それぞれ選択した後、[Add to app]を選択してテーブルを追加しましょう。

テーブルに追加した後は、Dataナビゲーションにそれぞれのテーブルが加わっているか確認しましょう。

4.商品マスタテーブルのカラムを設定する
次に、[商品マスタ]テーブルのカラムの設定を行います。
編集画面左端[Data]ボタンから[商品マスタ]テーブルを選択して、編集画面に[商品マスタ]テーブルを表示させます。
具体的な設定方法には、いくつかありますが、ここでは下記のように設定しましょう。

上記の設定ができたら、編集画面右上に表示されている[SAVE]ボタンを選択して、設定を保存しましょう。

なお、[TYPE]とは列に保存するデータの種類を指します。基本的には自動的に設定されますが、場合によっては変更が必要です。
また、商品をバーコードでスキャンできるよう、JANコードの[SCAN?]には必ずチェックを入れましょう。
5.従業員リストテーブルのカラムを設定する
次に、[従業員リスト]テーブルのカラムを設定します。下記のように設定しましょう。

6.入出庫管理テーブルのカラムを設定する
次に、[入出庫管理]テーブルのカラム設定を行います。下記のように設定しましょう。

続けて各項目の詳細設定を行います。
7.入出庫管理テーブルの各項目の詳細設定を行う
次に、入出庫管理テーブルの項目の詳細を設定します。具体的な設定項目は次の通りです。
- 7-1.作業者列の詳細を設定する
- 7-2.更新日時列の詳細を設定する
- 7-3.商品列の詳細を設定する
- 7-4.作業内容列の詳細を設定する
- 7-5.数量表示を変更する
それぞれ詳しく解説します。
7-1.作業者列の詳細を設定する
[作業者]列では、[INITIAL VALUE]の項目に[USEREMAIL()]と入力して、右下の[SAVE]を選択します。
![[USEREMAIL()]と入力](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/12.jpg)
その後の設定は、次の通りです。
- [作業者]列左側のペンアイコン(edit)を選択する
- [TYPE]を[Ref]に設定する
- [Type Detail]の[Source Table]で[従業員リスト]を選択する
- 右上[Done]を選択する

この設定で、アプリの[入出庫管理]から新規入力([+]を選択)した際、作業者の入力画面で、登録済みの作業者のなかから選択できるようになります。

7-2.更新日時列の詳細を設定する
次に、更新日時列の詳細設定を行います。
具体的な設定内容は、次の通りです。
- [更新日時]列左側のペンアイコン(edit)を選択する
- [TYPE]を[ChangeTimestamp]に設定する
- 右上[Done]を選択する

この設定で、入出庫管理を修正したり、更新したりするたびに、その時点の日時(現在日時)が自動記録されるようになります。
7-3.商品列の詳細を設定する
次に、商品列の詳細設定を行います。具体的な設定内容は、次の通りです。
- [商品]列左側のペンアイコン(edit)を選択する
- [TYPE]を[Ref]に設定する
- [Type Detail]の[Source Table]で[商品マスタ]を選択する
- 右上[Done]を選択する

この設定で、[入出庫管理]テーブルの[商品]列は、[商品マスタ]テーブルを参照することになります。
設定後は、編集画面右側のプレビューから、次の操作を試してみましょう。
- [入出庫管理]を選択
- [+]ボタンを選択
- [商品]の入力部分を選択
- [商品マスタ]テーブルに登録された商品名が表示されて、選択可能になっていれば設定成功
- 編集画面右上[SAVE]を選択して保存する

なお、繰り返しになりますが、[商品]列では、バーコードスキャンを行えるよう、[SCAN?]の項目にチェックを入れてONに設定するようにしましょう。
![[商品]列では、バーコードスキャンを行えるよう、[SCAN?]の項目にチェックを入れる](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/18.jpg)
7-4.作業内容列の詳細を設定する
次に、[作業内容]列の詳細設定を行います。具体的な設定内容は、次の通りです。
- [作業内容]列左側のペンアイコン(edit)を選択する
- [TYPE]を[Enum]に設定する
- [Type Detail]の[Values]の項目で[出庫][入庫][棚卸]を入力
- [Add]を選択して項目を追加する
- 下にスクロールして[Input mode]の[Buttons]を選択する
- 右上[Done]を選択する


設定が完了したら、プレビューで次の操作を試してみましょう。
- [入出庫管理]を選択
- [+]ボタンを選択
- [作業内容]列に[入庫][出庫][棚卸]のボタンが表示されていれば設定成功
- 編集画面右上[SAVE]を選択して保存する
![[作業内容]列に[入庫][出庫][棚卸]のボタンが表示されていれば設定成功](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/21.jpg)
7-5.数量表示を変更する
次に、[数量]列の表示名の設定を行います。この設定は、実際の作業時に、選択した[作業内容]に応じて[数量]表示を変更するために実施されます。
[入出庫管理]テーブルの[数量]列の[DISPLAY NAME]を選択します。次の画面で表示される[Expression Assistant]に、次の式を入力してください。
![[入出庫管理]テーブルの[数量]列の[DISPLAY NAME]を選択](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/22.jpg)
式:
IFS(
[作業内容]="入庫","入庫数量",
[作業内容]="出庫","出庫数量",
[作業内容]="棚卸","棚卸後の数量"
)
この設定が完了した後も、プレビューで以下の操作を確認します。
- [入出庫管理]を選択
- [+]ボタンを選択
- [作業内容]を選択した際、選択した内容に応じて[数量]表示が変更されれば設定成功
- 編集画面右上[SAVE]を選択して保存する
![[作業内容]を選択した際、選択した内容に応じて[数量]表示が変更されれば設定成功](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/23.jpg)
8.在庫量を計算する
最後に、在庫管理アプリのメイン機能となる、在庫量計算の設定を行います。
具体的な手順は次の通りです。
- [商品マスタ]テーブルに[在庫量]列を作成して設定を行う
- [入出庫]テーブルの[数量の増減]列の設定を行う
それぞれ詳しく解説します。
[商品マスタ]テーブルに[在庫量]列を作成して設定を行う
[商品マスタ]テーブルに、[在庫量]列を追加作成します。
この際、在庫計算のために[Virtual Column]を追加します。Virtual Column(仮想列)とは、データソースにデータを保存しない、[App formula]で設定する式を自動計算する、アプリ同期のたびに最新の経験結果を表示する、といった特徴があります。
アプリ上だけで動く列であり、データソースを更新せずに最新結果が表示されることで、スムーズなデータの把握や対応が可能になります。
具体的な手順は、次の通りです。
- 編集画面左端[Data]アイコンを選択する
- [商品マスタ]テーブルを選択する
- 編集画面右上の[+](Add virtual column)を選択する
![[商品マスタ]テーブルに[在庫量]列を作成して設定を行う](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/24.jpg)
続けて、次の手順を踏みます。
- [New Virtual Column(virtual)]の[Column name]を[在庫量]に設定する
- [App formula]の入力欄を選択して、以下に記載する数式を入力する
- [Done]を選択する
![[商品マスタ]テーブルに[在庫量]列を作成して設定を行う2](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/25.jpg)
式:
SUM([Related 入出庫管理s][数量の増減])
[入出庫]テーブルの[数量の増減]列の設定を行う
次に、[入出庫]テーブルの[数量の増減]列の設定に移ります。
具体的な手順は、次の通りです。
- 編集画面左端[Data]アイコンを選択する
- [入出庫管理]テーブルを選択する
- [数量の増減]列の[FORMULA]欄を選択する
![[入出庫]テーブルの[数量の増減]列の設定を行う](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/26.jpg)
- [Expression Assistant]の入力欄に以下に記載する式を入力する
- [SAVE]を選択する
![[入出庫]テーブルの[数量の増減]列の設定を行う](https://www.fumidasu-dx.jp/wp-content/uploads/2025/05/27.jpg)
式:
IFS( [作業内容] = “入庫”, [数量], [作業内容] = “出庫”, -([数量]), [作業内容] = “棚卸”, [数量] – [商品].[在庫量] )
この際、[商品マスタ]テーブルの[在庫量]の[TYPE]が[Number]になっていることを確認してください。[Text]になっていた場合、入力した式がエラーとなり、設定が反映されないため、注意しましょう。
在庫量を計算する列の設定が完了したら、編集画面右上[SAVE]を選択して設定を保存しましょう。
これで、基本機能が搭載された在庫管理アプリが完成しました。
AppSheetで在庫管理アプリを導入するメリット
AppSheetを使って在庫管理アプリを作成・導入するメリットは次の通りです。
- 初心者でも簡単にアプリを作成できる
- 低コストでアプリを導入できる
- 現場からリアルタイムで入力できる
- データの一元管理と自動更新ができる
- ニーズに合わせたカスタマイズが可能
- 商品ごとに表示スタイルを変えられる
- クラウドベースでの運用で場所やデバイスを問わずアクセスできる
- 既存のデータベースと統合できる
- データのダウンロードやバックアップに対応できる
それぞれ詳しく解説します。
初心者でも簡単にアプリを作成できる
AppSheetの最大の魅力の一つは、プログラミング未経験者でも簡単にアプリを作れることです。
用意されたテンプレートやウィザード形式の設定画面に従って進めるだけで、在庫管理アプリが形になっていきます。難しいコードの入力は不要で、操作のほとんどがドラッグ&ドロップや選択式です。
しかも、もともとあるGoogleスプレッドシートやExcelファイルをそのままアプリ化できるため、業務で使っている台帳や表を活用してスムーズにスタートできます。
使いながら直感的に理解できる設計となっており、トライアンドエラーを繰り返しながらカスタマイズを進めることが可能です。
これにより、システム部門がない中小企業や、IT担当者がいない現場でも、実用的な在庫管理アプリを内製することができます。
低コストでアプリを導入できる
AppSheetを使えば、必要最小限のコストで自社専用のアプリを構築できます。
基本機能を無料で使えるだけでなく、有料プランを選んでも比較的安価で利用できるため、予算に応じた運用が可能です。
また、導入後に機能追加や画面レイアウトの変更を自社で行えるため、変更のたびに外部の開発業者に依頼する必要がありません。
自社の業務内容や在庫の流れに応じて、柔軟にアプリの設計や修正ができる点は、コスト削減だけでなく業務の最適化にもつながります。
市販の在庫管理ソフトは高額な初期費用や月額料金がかかることが多く、中小企業にとっては大きな負担になります。
限られたリソースのなかで最大の成果を求める中小企業にとって、AppSheetは非常に現実的で賢明な選択肢といえるでしょう。
現場からリアルタイムで入力できる
AppSheetで作成したアプリでは、現場のスタッフがその場で在庫情報をリアルタイムに入力可能です。
スマートフォンやタブレットでの操作に対応しているため、入出庫作業中に即座に在庫数を更新でき、情報のタイムラグを最小限に抑えられます。
現場での紙への手書き記録や後からの転記作業が不要になり、人的ミスの発生も大幅に軽減されます。
また、入力されたデータは即座にクラウド上に反映されるため、事務所の担当者や他の拠点とも常に最新の在庫情報を共有可能です。在庫管理の精度向上や社内の情報共有体制の強化にもつながり、業務全体のスピードと質もアップするでしょう。
データの一元管理と自動更新ができる
AppSheetで作成した在庫管理アプリは、すべての在庫データを一元的に管理できる構造となっています。
複数の担当者が別々のシートに入力していた情報も、クラウドベースのアプリを使えば1つのデータベースで一括管理が可能です。更新作業も手動ではなく、アプリ側が自動的に反映してくれるため、二重入力や入力漏れといったミスを防げます。
スプレッドシートと連携させれば、定期的な更新作業もAppSheet側で自動処理できるため、手間のかかるルーチンワークから解放されます。
管理業務が効率化され、担当者は本来注力すべき業務に集中できるのは、AppSheetで在庫管理アプリを作成する大きなメリットです。
ニーズに合わせたカスタマイズが可能
AppSheetでは、自社の在庫管理の流れに合わせて自由にカスタマイズができます。
例えば「商品の入庫時に担当者の署名を求める」「在庫が一定数を下回ったら通知を出す」といった独自の要件にも対応可能。アプリ内で必要な項目や操作手順を自在に設計できるため、一般的な業務ソフトでは対応が難しい特殊な運用にもフィットさせられます。
現場で使いやすいように画面構成を変えたり、ボタンの位置を調整したりと、細かな調整も直感的に行えます。
現場の声を反映させた実用的なアプリを構築できるため、業務フローに自然に取り込めるアプリ運用が可能です。
商品ごとに表示スタイルを変えられる
AppSheetでは、在庫管理対象の商品ごとに表示スタイルを変更できます。
例えば、在庫数が少なくなった商品は赤色で強調表示したり、カテゴリー別に色分けしたりと、視覚的に分かりやすくカスタマイズ可能です。
写真やアイコンを使った商品情報の表示も可能で、現場のスタッフが商品を判別しやすくなり、作業効率が向上します。
また、在庫数や入庫日などでの表示順の並び替えも簡単に設定でき、情報の整理がしやすくなります。
AppSheetで作成したアプリの視認性の高さは、ヒューマンエラーの防止につながり、誰でも使いやすい在庫管理アプリを実現できます。
クラウドベースでの運用で場所やデバイスを問わずアクセスできる
AppSheetのアプリはクラウド上で動作するため、インターネットに接続できる環境であればどこからでもアクセスが可能です。
スマートフォン、タブレット、PCなど、あらゆるデバイスで使用でき、出張先や倉庫など離れた場所でも在庫状況を即座に確認・更新できます。
オフィスに戻ってからデータを確認する手間が省け、業務のスピードアップが図れます。
また、複数拠点を持つ企業でも、全拠点の在庫状況を統一されたアプリで管理できるため、在庫の偏りや不足を早期に発見しやすくなります。
働く場所に縛られず、どこでも同じアプリを利用できる柔軟さは、現代のビジネスに不可欠な要素といえるでしょう。
既存のデータベースと統合できる
AppSheetはGoogleスプレッドシートやExcel、SQLデータベースなど、さまざまな外部データソースと簡単に統合できます。
すでに在庫管理に使っているシステムがある場合でも、そのデータを無駄にせず活用できるのが魅力です。
過去の在庫履歴や商品情報をそのままアプリ内に取り込み、スムーズに運用を開始できます。統合したデータはアプリ上でリアルタイムに更新され、他システムとの整合性も維持されるため、業務全体の整合性も保たれます。
既存資産を活かしながら、新しいシステムへ移行できるAppSheetは、コストと労力を抑えたい企業にとって有効な手段の一つです。
データのダウンロードやバックアップに対応できる
AppSheetでは、アプリ上で管理しているデータを簡単にエクスポートして、CSV形式などでダウンロードできます。
そのため、定期的な在庫報告書の作成や、他部署との情報共有がスムーズに行えます。
また、バックアップ用途としても非常に有効で、定期的にデータを保存しておけば、万が一のトラブル時でも復元が可能です。Google Driveなどと連携すれば、バックアップの自動化も実現できます。
クラウド上で安全にデータを保管しながら、必要に応じてオフラインでも活用できる柔軟性は、業務の安定運用において大きな安心材料となるでしょう。
AppSheetの利用にかかるコスト
AppSheetの料金プランには、無料プランと有料プランが用意されています。
無料プラン
次に挙げる一定の条件を満たしている場合、無料でアプリの開発が可能です。
- 個人でアプリケーションを開発する場合
- アプリのユーザーが10名以下の場合
- アプリの検証を行うユーザーが10人以下の場合
つまり、AppSheetを無料利用してアプリを開発し、そのまま事業に導入することはできません。
ただし、開発したアプリは月10名以内であれば共有・テストができるため、試験運用でフィードバックを集めたり、その後のアプリ開発に反映させたりできます。
なお、無料利用でできることは次の通りです。
- アプリ開発
- データベースを含めたデータソースの仕様
- ワークフロー設定
- モバイルアプリの利用
- データ同期 など
有料プラン
一方、作成したアプリを部署全体や組織全体で共有したい場合は、有料プランへの加入が必要です。また、企業として本格的にAppSheetを活用したいのであれば、有料プランへの加入を検討した方がいいでしょう。
AppSheetの有料プランの金額は次の通りです。
Starter プラン | Core プラン | Enterprise Plus プラン | |
費用(ユーザー単位) | $5.00 | $10.00/月 | $20.00/月 |
データベース | 5 | 10 | 200 |
データベースのレコード上限 | 2,500 | 2,500 | 200,000 |
Starterプランは、アプリ開発に必要な基本的な性能が搭載されたプランです。個人利用や小規模のアプリ開発におすすめのプランといえます。
Coreプランは、Starterプランの機能に加え、さらに高度な機能とセキュリティ機能が搭載されています。Starterプランでは対応できない規模のアプリ開発が必要なら、Coreプランへの加入を検討しましょう。
Enterprise Plusプランでは、Coreプランの機能に加えて、高度なデータ管理機能や認証機能が搭載されています。また、Google AIの利用も可能です。大規模なアプリ開発が必要な場合は、Enterprise Plusプランがおすすめです。
Google WorkspaceにはCoreプランのライセンスが含まれる
Google Workspaceに加入している場合、AppSheetの Coreライセンスが含まれているため、追加料金なしで業務アプリを構築できます。
Google Workspaceとは、Googleが提供するビジネス向けのクラウド型グループウェアサービスです。情報共有やコミュニケーションが簡単に行えるほか、アプリ同士を連携させることで、生産性の向上を期待できます。また、2段階認証プロセスやシングルサインオンなど、安全に利用できる機能も搭載されています。
さらに、さまざまなGoogleサービスとAppSheetとの連携が可能です。例えば、Google Sheets(スプレッドシート)を使ってアプリを開発したり、Google ChatやGmailからアプリにアクセスしたりできます。
在庫管理アプリ作成が難しい場合はフミダスDXにご相談ください
「AppSheetを使った在庫管理アプリの制作が難しい」
「自社に合った在庫管理アプリを制作してくれる業者に相談したい」
そのような場合は、ぜひフミダスDXにご相談ください。
フミダスDXは、大正11年創業の製造業・株式会社真工社による、中小企業のデジタル化・DXを支援するサービスです。
AppSheetサービスを活用したアプリやダッシュボードの開発により、企業の業務プロセスを改善できるツールを提供しております。企業独自の課題に合わせたシステムを低コストで開発でき、生産性の向上や企業競争力の強化が可能です。
具体的な事例の紹介や個別の相談会、デモ機の体験会も随時実施しております。自社のニーズを満たした在庫管理アプリを制作したい経営者や担当者の方は、お気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

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株式会社真工社 DX推進室 課長
工程設計や新規品の立ち上げ、海外工場への技術支援、製造責任者を経て、DX推進室の立ち上げに参画。DX推進室の責任者として社内外のDX支援に取り組む。
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