DX(デジタルトランスフォーメーション)は、「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3つの段階に分類できます。DXを進めたいけれど、何から始めたらいいのか分からない場合は、DXの3段階を理解しておけば、現状を把握しやすくなり、DXを進めやすくなるでしょう。
本記事では、DXの3段階の特徴や進め方、メリット、課題について解説します。具体例も紹介するので、これからDXを進めようとしている企業の経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
DXを推進するための3つの段階とは
DXは、次の3つの段階に分解できます。
デジタイゼーション(Digitization) |
アナログ・物理データのデジタルデータ化 |
デジタライゼーション(Digitalization) |
個別の業務・製造プロセスのデジタル化 |
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation) |
組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変改 |
引用:経済産業省近畿経済産業局「DXに関する経済産業省の施策紹介」(2025-03-29)
企業がDXを推進したいと考えていても、実際にはDX以前の段階でとどまっているケースもあります。
各段階に意味や目的、課題があり、どの段階であるかによって、企業の現状や取り組みの進捗を把握しやすいでしょう。
次の章からは、それぞれの段階について詳しく解説します。
【DX推進の第一段階】デジタイゼーション
デジタイゼーションとは、DXを進めるうえでの第一段階で、アナログの情報をデジタル形式に変換すること(デジタル化)です。
デジタイゼーションの実施によって、情報の保存・検索・共有がしやすくなるほか、その後のデジタライゼーションを実施するための基礎を構築できます。
デジタイゼーションの具体例
デジタイゼーションの具体例は次の通りです。
- ITデバイスの導入
- 紙媒体の資料・情報のデジタル化
- コミュニケーションツールのデジタル化
一般的な施策として、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットといったITデバイスの導入が挙げられます。
また、紙媒体の資料や情報のデジタル化(ペーパーレス化)、メールやチャットツールなどを用いたコミュニケーションツールのデジタル化も、デジタイゼーション施策の一つです。
デジタイゼーションの進め方
デジタイゼーションを進める場合の大まかな手順は次の通りです。
- 業務プロセスの可視化
- デジタイゼーションが必要な箇所の洗い出し
- 利用するツールやシステムの決定
- デジタイゼーションの実行
それぞれ詳しく解説します。
業務プロセスの可視化
デジタイゼーションを進める第一段階が、業務プロセスを可視化することです。
どのような手順で業務を行っているか、業務に誰が関わっているか、業務における注意点は何かなど、業務を分解・分析します。
業務プロセスを可視化すれば、どのようにデジタイゼーションを進めればいいか、ヒントを得られるでしょう。
デジタイゼーションが必要な箇所の洗い出し
業務プロセスを把握できたら、デジタル化する箇所をピックアップします。
比較的簡単にデジタル化できる部分と、デジタル化が難しい部分を分類しておけば、デジタイゼーションの優先順位を付けられます。
利用するツールやシステムの決定
デジタイゼーションが必要な箇所が明確になったら、どのようなツールやシステムを使うかを考えます。
ツールやシステムは、自社で開発しても問題ありませんが、手間と時間がかかるうえ、自社にツールやシステムを作成できる人材がいなければ、デジタイゼーションが進みません。
基本的には、一般に提供されているサービスを利用するのがおすすめです。現在では、有料サービスに加えて、無料で機能性の高いサービスも多数提供されています。
どのようなツール・システムを使えば、自社に適したデジタイゼーションできるか、慎重に検討しましょう。
デジタイゼーションの実行
導入するツールやシステムが決定したら、デジタイゼーションを実行します。
ツールやサービスを導入する際は、システムの設定や、専門のスタッフの確保が必要です。
各部門と連携しながら、デジタイゼーションを進めていきましょう。
デジタイゼーションによる効果
デジタイゼーションを行うことで、次のような効果を期待できます。
- 業務の効率化
- 並列作業での時短実現
- 人的ミスの回避
それぞれ詳しく解説します。
業務の効率化
デジタイゼーションの推進によって、業務効率化と生産性向上を期待できます。
これまでアナログで行ってきた業務を、デジタル化することで、扱いやすくなります。自動化できるツールを導入すれば、業務時間の大幅な削減も可能です。
人的リソースを他の業務に充てられるようになるため、業務遂行が効率化するだけでなく、全体の生産性も向上します。
並列作業での時短実現
デジタイゼーションによって、業務を並行して自動化できるケースもあります。
自動化できる業務が多いほど、デジタル技術に任せられる部分も多くなります。そのため、少ないリソースで業務を遂行できるようになるほか、業務にかかる時間の大幅な短縮が可能です。
人的ミスの回避
デジタイゼーションによって、ヒューマンエラーの削減効果も期待できます。
人が行うアナログな作業では、どうしてもミスが発生します。特に、大量なデータの管理や整理、単純作業では人的ミスが発生しやすいものです。
デジタイゼーションによって業務を自動的にこなさせたり、データの計算を任せたりすれば、ヒューマンエラーの大幅な削減が可能です。
ただし、デジタイゼーションの実施から間もない場合、慣れないツールやシステムの扱いに手間がかかり、設定ミスや入力ミスなどが発生する恐れがある点には注意が必要です。
デジタイゼーションを進める際の課題
企業や組織がデジタイゼーションを進める場合、次のような課題があります。
- 初期費用コストに対する資金不足
- ITリテラシーの不足
- 外注化によるデジタイゼーション実現の長期化
それぞれ詳しく解説します。
初期費用コストに対する資金不足
デジタイゼーションにおける課題として、初期費用に対する資金不足が挙げられます。
導入するツールやシステムによっては初期費用が発生します。しかし、既存のシステムのコストも負担する必要があり、初期費用が上乗せされることで資金が足りない状況が発生しやすくなるのです。
有料のツールやシステムを導入する場合、IT費用に対するコストを最適化する必要があるでしょう。
ITリテラシーの不足
企業内のITリテラシーが不足しやすいのも、デジタイゼーションの課題となります。
アナログでの業務に慣れた社員が多い場合、デジタイゼーションに対して拒否反応を示したり、ツール・システムの導入について不安を抱いたりする恐れがあります。
なお、ITリテラシーの向上には、かなりの時間がかかります。デジタイゼーション推進のためには、長い視点で取り組む必要があるでしょう。
外注化によるデジタイゼーション実現の長期化
デジタイゼーションを外注する場合、時間がかかってしまうのも課題の一つです。
デジタイゼーション推進にあたって、ITデバイスやシステムの導入、環境構築を外注するケースも多々あります。
外注することで、企業の手間は省けますが、一方でデジタイゼーションが実現するまで、どうしても時間がかかります。
また、デジタイゼーション実現まで、既存システムと利用することになりますが、その分コストがかかりやすくなるデメリットも発生します。
【DX推進の第二段階】デジタライゼーション
デジタライゼーションとは、デジタル技術の活用によって業務プロセスを最適化することです。
デジタイゼーションを行ったうえで、IT技術で業務を代替したり、自動化したりして、さらなる業務効率化を目指す段階です。
デジタライゼーションが完了すれば、DX推進の基礎を構築できます。
デジタライゼーションの具体例
デジタライゼーションの具体例は次の通りです。
- POSレジの導入により売上管理・販売管理を自動化する
- 発注システムの導入により余剰在庫や欠品を最適化する
- 業務プロセスをワークフローとして統合する
- システム導入によって伝票・帳票類を統一化する
- 物流の荷物の状況をリアルタイムに管理する
なお、業種や職種、業務内容によって、デジタライゼーションの内容は異なります。
デジタライゼーションの進め方
デジタライゼーションの進め方は次の通りです。
- 現状の把握と顧客の分析
- 課題の発見と目標の設定
- デジタライゼーションの計画立案
- デジタライゼーションの実行
それぞれ詳しく解説します。
現状の把握と顧客の分析
デジタライゼーションを進める最初のステップは、現状の把握です。
自社のデジタイゼーションがどの程度進んでいるのか、どの部分が足りていないのかを確認します。また、社員のITリテラシーの状況も確認し、デジタライゼーションを実施して対応できるかどうかもチェックしましょう。
次に、自社の顧客の分析を行います。行動分析や購買分析によって、顧客の属性やニーズをチェックし、自社のサービスや商品に問題がないかを把握しましょう。
顧客体験の現状や商品の課題が明確になれば、デジタライゼーションによる改善が可能です。
課題の発見と目標の設定
現状の把握と顧客の分析を行い、課題を明確化できたら、課題を解決するための目標を設定します。
目標の一例は次の通りです。
- ワークフローを見直して、部門横断的に業務プロセスを改善する
- 部署ごとに使用するシステムを統合したりする
- 顧客体験を向上できる商品やサービスを開発する
自社の課題を解決できる最適な目標を設定しましょう。
デジタライゼーションの計画立案
現状の課題解決のための目標を設定したら、デジタライゼーションの計画を立案します。
設定した目的を実現するためにどうすればいいのか、具体的に考えていきましょう。
課題解決のための手段を分かりやすくするために、課題をタスクに分解して明確化するのがおすすめです。
いくつかの計画が立案できたら、優先順位を付けてどの課題から解決していくか検討しましょう。
デジタライゼーションの実行
計画を立案できたら、実際にデジタライゼーションを実施します。
新商品・新サービスの開発・提供、ワークフローの見直しなど、計画に沿ってデジタライゼーションを実行していきましょう。
デジタライゼーションによる効果
デジタライゼーションの実施によって、次のような効果を期待できます。
- 新たな価値の創出
- 業務効率化
- DX推進の基礎の構築
それぞれ詳しく解説します。
新たな価値の創出
デジタライゼーションによって、新たな価値を創出して顧客に提供できます。
自社サービスの提供プロセスや、製品の製造プロセスを見直し、デジタル技術を導入することで、事業活動は大幅に変化します。
場合によっては、顧客体験が向上したり、競争力が強化されたりするケースもあるでしょう。
業務効率化
デジタライゼーションによって、業務が効率化されます。
既存の業務プロセスにデジタル技術を導入することで、業務時間や人的リソースの削減につながるためです。
アナログ業務で発生する人によるミスや、人の目で行うチェック業務を減らせます。業務プロセスそのものを改善できるため、効率的な事業運営が可能です。
DX推進の基礎の構築
デジタライゼーションは、DX推進の基礎となります。
デジタライゼーションによって、業務プロセスや組織運営の課題を発見できれば、DXでの改善点となります。
DXの推進で課題が解決できれば、企業としてさらなる価値を提供できるようになるでしょう。
デジタライゼーションを進める際の課題
デジタライゼーションを進める場合、次のような課題があります。
- システム統合の難度が高い
- セキュリティリスク対策の必要性
それぞれ詳しく解説します。
システム統合の難度が高い
デジタライゼーションで課題となるのが、システム統合の難しさです。
多くの企業で、既存のレガシーシステムへの対応に苦労しています。
デジタライゼーションによって新たなシステムを導入する場合、既存システムと新システムとの間でデータを連携したり、業務プロセスを調整したりしなければなりません。これには、たいへんな時間と手間がかかります。
また、部門ごとに異なるシステムを活用して業務を行っている場合、部門横断的な調整が必要になるため、さらに時間を要することになりかねません。
システム統合を目指す場合は、全社一丸となってデジタライゼーションに取り組む姿勢が求められるでしょう。
セキュリティリスク対策の必要性
デジタライゼーションでは、セキュリティリスクについて考慮しなければなりません。
セキュリティリスクとは、データ漏えいのリスクや、サイバー攻撃を受けるリスクなどを指します。
業務をデジタル化することで、セキュリティリスクは増大するため、相応の対策を講じなければなりません。
特に、機密情報や顧客の個人情報については、漏えいさせないための対策が必要になるでしょう。
【DX推進の第三段階】デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術の活用によって、事業やビジネスモデル、業務プロセスを変革して、競争上の優位性を確立することをいいます。
経済産業省では、DXを以下のように定義しています。
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
引用:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」(2024-03-29)
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進め方
デジタルトランスフォーメーション(DX)の具体的な進め方は次の通りです。
- DXビジョンの策定
- 現状と課題の把握
- DX推進チームの構築
- DX推進のロードマップの策定
- DX推進の予算の確保
- 相談先の選定
- DX施策の実行
- 施策内容の評価・改善
- 改善と適応の継続
それぞれ詳しく解説します。
DXビジョンの策定
DX推進の最初のステップは、DXビジョンを決めることです。
DXビジョンとは、DXによって実現したい理想や達成したい目標のことです。
具体的には、次に挙げる要素で構成されます。
また、DXビジョンの策定は、次の手順で行います。
- 経営陣を含めてDX推進を担うメンバーを集める
- DXビジョンに記載する内容をメンバーで共有する(現場スタッフや関係者の意見も含める)
- 事業における内部環境・外部環境を分析する
- 自社の状況を把握する
- 具体的なDXビジョンを策定する
- DXビジョンを全社で共有する
DXビジョンを策定する場合は、経営層に加えて、各部門の責任者やDXに詳しい専門家などのメンバーを集めましょう。
現状と課題の把握
次に、業界や市場の変化、DXの進行状況などを把握・整理します。
自社の状況が明確になり、課題の特定や目標の設定を行いやすくするためです。
自社でリサーチできない場合は、診断ツールを使ったり、コンサルティングを利用したりしましょう。
自社の状況が把握できたら、改善が必要な業務・ワークフローを特定します。DXは全社的に行うため、現場社員の意見をヒアリングし、部門ごとの課題を全て洗い出すことを目指しましょう。
DX推進チームの構築
次に、DXを推進するチームを作ります。
DX推進チームのメンバーには、次のような人材を含めましょう。
- ITリテラシーが高い人材
- 各部門の業務内容を詳しく理解した人材
- マネジメントスキルが高い人材
- デジタル技術を活用したビジネスアイデアを立案・推進できる人材
また、DXは全社的に行うもののため、現場の社員だけではなく、経営陣との連携が重要です。全社一丸でDX推進に取り組める環境を構築しましょう。
DX推進のロードマップの策定
DX推進チームを作ったら、次にDXを進める戦略・計画をまとめたロードマップを策定します。
ロードマップによって、DXの目的と期限を明確にでき、DXをスムーズに進められます。また、取り組みの内容を従業員に共有できるのもメリットです。
ロードマップはゴールから逆算して考えることが大切です。DXビジョンや自社の課題をもとに決めていきます。なお、DXは長期的な取り組みになるため、ゴールとともに中間目標(マイルストーン)をいくつか設定し、進捗状況を確認しやすくするのがおすすめです。
次に、中間目標とDXのゴールを達成するのに求められる工程の計画を立案します。工程は時系列順に整理して、確認しやすいようにしておきましょう。
DX推進の予算の確保
ロードマップを策定できたら、DXのための予算を確保します。
予算はDXの目的や実現したい目標、企業規模などによって異なります。ただし、保守的な金額では効果をあまり期待できません。積極的に予算を組み、資金を確保しましょう。
なお、経営層へプレゼンテーションを行う場合や、稟議を通す場合は、具体的な値を提示するのが有効です。システムやツールへの投資費用・運用費用と、DXでの成果を数値化して説明しましょう。
相談先の選定
予算の確保と同時に、DX推進に向けた相談先を選ぶ作業も行います。
自社のDXビジョンや改善した課題をもとに、ニーズに合った相談先を選ぶことが大切です。
複数の相談先をピックアップし、自社に合った相談先を選択しましょう。
DX施策の実行
DXを推進するための体制や予算などの準備ができたら、DXを実際に進めていく段階です。
DX推進のポイントは次の通りです。
- 短期的で達成可能な成果を出す
- DXビジョンを全社に浸透させる
- DXを推進できる人材を育成する
DXの目標を達成するには、数年規模の時間がかかります。そのため、新製品やサービスのリリース、システムの導入など、短期的な成果を継続して出すことが重要です。
また、DXは全社で取り組む必要があるため、イベントの開催や積極的な発信などで、DXビジョンが浸透するよう努めましょう。
さらに、自社内でDX人材を育成することも大切です。求める人物像を明確にして、積極的な育成施策を実行しましょう。
施策内容の評価・改善
DX施策の実行後は、戦略や計画に沿って進行できているか、実際にどのような成果が出ているかを分析します。
なお、成果は数値化して分析するのがポイントです。分析内容や評価の結果に応じて、DX戦略や方針の見直しを行いましょう。
改善と適応の継続
その後は、DX施策の実行と評価・改善を繰り返していきます。
DX全体の成果は短期間では出ないケースもあるため、定期的に評価・改善を行い、PDCAを回しながら、DXでの目標達成を目指しましょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)による効果
デジタルトランスフォーメーションを実行することで、次のような成果を期待できます。
- 業務効率化・生産性向上
- 働き方改革の実現
- コストの削減
- 新しい製品・サービスの創出
- データの利活用
- BCPでのリスク回避
それぞれ詳しく解説します。
業務効率化・生産性向上
DXによって、業務効率化や生産性向上を期待できます。
ITツールやシステムの導入によって、業務を自動化・簡略化できるほか、人的リソースを他の業務に充てられるためです。
また、業務効率化によって、サービスや製品の質にこだわれるようになるため、品質やコスト、納期の改善や顧客満足度の向上にもつながります。
働き方改革の実現
DX推進は、働き方改革の実現にもつながります。
DXによって従業員の業務負担を軽減できるためです。
残業や休日出勤が必要な業務も、DXでの業務効率化によって業務時間を短縮できます。コミュニケーションツールや業務管理システムを導入すれば、職場や現場にいなくても業務を遂行できるケースもあります。
そのため、リモートワークやフレックスタイムといった働き方の採用や、業務負担の軽減・業務時間の短縮によって、人材が定着しやすくなるなどの効果も期待できます。
このような企業は、求職者から魅力的に見えるため、人材の採用率も向上しやすいでしょう。
コストの削減
DXによって、業務プロセスを改善できれば、コスト削減につながります。
業務を自動化できるシステムを採用すれば、ルーティンワークを削減でき、従業員がより創造的な業務に集中できるため、人件費を削減できます。
アナログデータをデジタル化すれば、ペーパーレス化を推進でき、印刷費や郵送費、資料などの保管費用を大幅に削減可能です。
また、クラウド型のITツールやシステムを導入することで、自社サーバーの運用・保守費用をカットが可能です。
DXを進めれば、企業全体のコスト構造を見直せるほか、利益向上を期待できます。
新しい製品・サービスの創出
DXの推進によって、新製品や新サービスによる新たな価値を生み出せます。
例えば、AIやIoTを活用したプロダクトの開発、AIを活用した市場分析によって、トレンドに沿った商品開発が可能です。
また、企業に蓄積されたデータを分析して、各顧客にパーソナライズされた製品やサービスを提供できます。
DXによって、市場の変化に柔軟かつ迅速に対応できるため、新たな利益を創出できる可能性があるでしょう。
データの利活用
DXを進めれば、企業が持つデータを有効活用できます。
リアルタイムで集まるデータを分析すれば、スムーズかつ精度の高い経営判断が可能です。顧客管理システム(CRM)を活用すれば、販促戦略を立てやすくなるほか、部署内・組織内で情報を共有しやすくなります。
データを利活用できるようになれば、企業としての競争力が向上するため、市場での優位性を確保できるでしょう。
BCPでのリスク回避
DXの推進によって、災害やサイバー攻撃などのリスクを回避でき、企業の持続的運営を実現できます。
クラウドストレージの活用で、災害発生時でもデータが消失するリスクを低減できます。リモートワークを導入すれば、災害やパンデミックが発生した場合でも業務を継続できる体制を構築可能です。
また、セキュリティ対策を講じれば、不正を防止できます。
DXによって、想定外の事態にも対応でき、事業を継続しやすくなります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める際の課題
デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める際、次のような課題が発生します。
- 経営陣がDX推進に消極的
- ITに関する見識の不足
- 部門間の連携不足
- DX推進の予算の不足
それぞれ詳しく解説します。
経営陣がDX推進に消極的
DX推進の課題として、経営陣がDX推進に消極的な点が挙げられます。
DXに消極的な要因は次の通りです。
- そもそもDXへの関心が薄い
- 事業を変革することに抵抗する
- ITやデジタル技術への投資に消極的
DXの成果が出ていない企業の多くで、経営層のDXへの関心が薄い傾向にあります。
DXを進めようという風潮が企業内に生まれにくいほか、現在の事業運営を変える必要がないと考えている経営陣も多く、DXを進めようとすることに抵抗するケースもあります。ツールやシステムへの投資にも消極的になりがちです。
DXは全社横断的に進める必要があるため、経営陣の参画が不可欠です。DXがなぜ必要なのか、経営陣を納得させる理由やデータを提示する必要があります。経営陣のリードによって、DXをスムーズに進めていきましょう。
ITに関する見識の不足
IT関連の見識が足りていないことも、DXを進めるうえでの課題です。
特に、役員のITへの見識が低く、ITに見識がある役員の割合が低いほど、DXの成果が出ていないという調査結果も出ています。
IT分野に見識のある役員の割合(DXの成果別および米国との比較)
5割以上 | 3割以上5割未満 | 3割未満 | いない | |
成果が出ている(n=477) | 11.5% | 8.2% | 63.9% | 16.4% |
成果が出ていない(n=110) | 4.5% | 4.5% | 55.5% | 35.5% |
2022年米国(n=386) | 38.9% | 22.0% | 35.0% | 4.1% |
参照:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」(2025-03-29)
繰り返しになりますが、DX推進に経営層によるコミットやリーダーシップは不可欠です。DXをスムーズに進めるためには、経営層のIT見識の改善が必要になるでしょう。
部門間の連携不足
説明したように、経営陣のリーダーシップがなければ、DXが進みにくいばかりではなく、社内連携も取りづらくなります。
DX動向では、職位間・部門間を含めた社内の風通しがよく、情報共有がうまくできているかを調査しました。結果、米国企業と比較して、うまくいっていないと回答した日本企業の割合が多いことが分かりました。
DXを推進するための企業文化・風土の状況:現在(経年変化および米国との比較)
| できている | 十分ではない | できていない | DX推進には必要ない |
2023年度日本(n=741) | 19.2% | 57.9% | 19.7% | 3.2% |
2022年度日本(n=375) | 17.3% | 56.3% | 22.9% | 3.5% |
2022年度米国(n=301 | 66.8% | 21.9% | 8.0% | 3.3% |
参照:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」(2025-03-29)
部門間や職位間での連携は、DX推進に欠かせません。DX目標を実現するには、さらなる連携強化が求められるでしょう。
DX推進の予算の不足
DXを進めるための予算が足りていないことも、DXにおける課題です。
DX動向におけるDXへの予算の確保状況の調査では、予算が確保されていない企業の割合こそ減少しているものの、「都度申請し、承認されたものが確保される」と回答した企業の割合が依然多いことが分かっています。
DXは長期的な取り組みとなるため、毎年の予算のなかでDXへ投資するための予算は継続的に確保するのが理想といえます。
このような状況からも、DX推進が進みづらい現状が見えてきます。
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投稿者プロフィール

-
株式会社真工社 DX専門家
製造現場で工程設計や新規品の立ち上げ、海外工場への技術支援を経て、DX推進室の立ち上げに参画。DX専門家として社内外のDX支援に取り組む。
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